私はヤマハ音楽教室でピアノ講師をしています。
「カワイ」「ヤマハ」「ローランド」の木製鍵盤のモデルの中で、いちばん低価格のモデルが
- カワイ→「CA401」
- ヤマハ→「CLP-745」
- ローランド→「HP704」
です。
20万円前後の予算で、木製鍵盤のモデルを探している方の中には、
どのモデルが、自分に合っているかな?
と迷う方もいると思います。
そこで、ピアノ講師が「3つのモデル」を実際に弾き比べた上で「違い」を解説していきます。
カワイ「CA401」ヤマハ「CLP-745」ローランド「HP704」をピアノ講師が比較
- カワイ「CA401」
- ヤマハ「CLP-745」
- ローランド「HP704」
の3つのモデルについて、次の7つを比較しました。
- 市場価格
- 鍵盤
- 音源
- グランドピアノのペダルの踏み心地を再現
- アンプ出力
- 音色数
- 独自の機能
1つずつ、見ていきましょう。
市場価格
「CA401」と「CLP-745」の定価は、242,000円で同じ。
「HP704」は、オープン価格です。
市場価格は、今のところ
- 「CA401」…198,000円〜
- 「CLP-745」…228,000円〜
- 「HP704」183,800円〜
となっています。
鍵盤
鍵盤は、3モデルとも木製鍵盤ですが、
- CA401…88鍵すべて木製・シーソー式構造
- CLP-745…白鍵のみ木製・構造は公開されていない
- HP704…木製と樹脂を組み合わせた鍵盤
という違いがあります。
私が3つのモデルを弾いてみたところ、鍵盤タッチが一番グランドピアノに近いのは「CA401」でした。
大きく違いを感じたのは強いタッチのとき。
カワイ「CA401」は、強いタッチでも
- グランドピアノに近い重さがある
- 鍵盤の動きがグランドピアノに近い
ため、違和感なく弾くことができました。
また、鍵盤の動きが安定していて、コントロールしやすいのも「CA401」の鍵盤が一番でした。
カワイは「鍵盤の動きを限りなくグランドピアノに近づける」という強いこだわりのもと、電子ピアノを製造しています。
「CA401」にも、グランドピアノと同様のシーソー式というだけでなく
- フロントピン/バランスピン/ブッシングクロスがグランドピアノと同様の素材
- タッチ感の追求のため特殊樹脂ブッシュを搭載
など、細部までこだわった木製鍵盤が搭載されています。
音源
3つのモデルそれぞれに「良さ」があり、メーカー独自の技術でグランドピアノの豊かな音色が再現されていています。
一つずつ、見ていきましょう。
カワイ「CA401」 |
カワイのフルコンサートピアノ「SK−EX」をサンプリングした「PHI音源」を搭載。
- タッチの強さに分けて細かくサンプリング
- カワイ独自の技術
により、ピアニッシモからフォルテッシモまでスムーズな音色変化が再現されています。
鍵盤の質の高さもあり、
グランドピアノでこのタッチをすれば、この音色が出る
というのが再現されているのが特徴。
鍵盤を戻し始めてから音が止まるまでのタイミングがグランドピアノと同様
という特徴もあり、演奏中のあらゆる場面でグランドピアノと同じ感覚で弾くことができます。
ヤマハ「CLP-745」 |
- ヤマハ「CFX」
- ベーゼンドルファー「インペリアル」
2つのコンサートグランドピアノをサンプリングした音源を搭載。
- グランド・エクスプレッション・モデリング
- バーチャル・レゾナンス・モデリング
など、さまざまなモデリング技術により、グランドピアノの豊かな響きを再現しているのが特徴。
私も弾きましたが、打鍵のスピードによって音色が変わるのはもちろん、離鍵のスピードによって音の余韻まで変わるのが、わかりました。
鍵盤センサーも性能がよく、繊細なタッチの違いで音色が豊かに変化します。
ローランド「HP704」 |
カワイ「CA401」とヤマハ「CLP-745」はサンプリング音源ですが、「HP704」はモデリング音源。
- タッチの強弱に応じた無段階の音色変化
- 同時発音数無制限
など、自然で豊かな表現ができるのが「モデリング音源」の特徴です。
弾いてみて感じたのは、
音色が綺麗で、繊細な強弱変化ができる
ということ。
「サンプリング音源」「モデリング音源」の違いについて詳しくは、電子ピアノのおすすめ10選【ピアノの先生が人気モデル&選び方を解説】をどうぞ。
グランドピアノのペダルの踏み心地を再現する機能
「カワイ」「ヤマハ」「ローランド」それぞれのメーカーに、グランドピアノの「ペダルの踏み心地」を再現する機能があります。
- カワイ…グランド・フィール・ペダル・システム
- ヤマハ…GPレスポンスダンパーペダル
- ローランド…プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル
この機能が、
- カワイ「CA401」
- ローランド「HP704」
には搭載されています。
一方、ヤマハ「CLP-745」には搭載されていません。(一つ上のモデル「CLP-775」から搭載されています。)
アンプ出力
アンプ出力は、
- CA401…20W×2
- CLP-745…[50W +50W]×2
- HP704…25w×2、5w×2
となっています。
アンプ出力が大きいことのメリットの一つは、大きな音量を出せることです。
また、大きな音量を出さない場合でも、低音に迫力があり、音質もよくなります。
音色数
音色数は、
- CA401…19
- CLP-745…38
- HP704…324
となっています。
「HP704」は、電子楽器メーカー「ローランド」ならではの多彩な音色が魅力!
一方、アコースティックピアノメーカーでもある
- カワイ
- ヤマハ
は、国際ピアノコンクールでも活躍する両メーカーのフルコンサートピアノの音色を楽しめるのが魅力です。
独自の機能
3つのモデルには、
- ピアノ教室でよく使われるレッスン曲を内蔵
- アプリで内蔵曲の楽譜を見れる
- Bluetoothオーディオ機能が使える
など共通した機能もたくさんあります。
一方、次のように独自の機能もあります。
- CA401…コンサートマジック
- CLP-745…曲のコード譜を自動作成(アプリ)
- HP704…練習メニューの表示、練習の記録、自動伴奏機能(アプリ)
一つずつ、見ていきましょう。
「CA401」コンサートマジック
コンサートマジックは、指一本で内蔵曲を演奏できる機能です。
指1本でリズムをきざむだけで、豪華なアレンジの曲の演奏ができますよ。
- アンパンマンのマーチ
- 崖の上のポニョ
など、子供たちが大好きなアニメ・映画曲のほか
- クラシック
- 日本のうた
など、50曲が入っています。
我が家にあるカワイの電子ピアノにも「コンサートマジック」の機能があり、子供たちが大好きです。
「コンサートマジック」のおかげで、自分からピアノに向かうことも多いですよ!
「CLP−745」曲のコード譜を自動作成
「CLP-745」では、アプリ「スマートピアニスト」と接続すると
スマホ内に保存された曲のコードを読み取り、コード譜を作成
することができます。(コードネームでのコード進行表になります)
コード譜が読める方であれば、あなたの好きなアーティストの曲に合わせてピアノ伴奏を楽しむことができますよ!
「HP704」練習メニューの提示、自動伴奏機能
「HP704」では、アプリ「Roland Piano App」と接続すると、さまざまな楽しい機能が使えるようになります。
その中で、ローランド独自の機能が
- タイムライン機能
- ゲーム感覚で音感トレーニングができる(フラッシュ・カード)
- 7日間ほどで1曲弾けるようになる練習メニューの提示(One Week Master)
- 自動伴奏機能
などです。
「タイムライン機能」では、1日にどれくらい練習したかなど、日々の練習を記録してくれます。
練習の目標時間を設定することもできるので、モチベーションを維持しやすいですよね!
「自動伴奏機能」では、あなたの演奏に合わせて、
- ポップス
- ジャズ
- ブルース
など、さまざまなジャンルの伴奏をリアルタイムでつけてくれるので、楽しく練習ができますよ!
カワイ「CA401」ヤマハ「CLP-745」ローランド「HP704」比較表
※横スクロールできます
CA401 | CLP-745 | HP704 | |
市場価格 | 198,000円〜 | 228,000円〜 | 183,800円〜 |
鍵盤 | 木製(88鍵全て) | 木製(白鍵のみ) | 木製×樹脂 |
音源 | サンプリング音源 | サンプリング音源 | モデリング音源 |
グランドピアノのペダルの踏み心地を再現 | ○ | × | ○ |
アンプ出力 | 20W×2 | [50W +50W]×2 | 25w×2、5w×2 |
音色数 | 19 | 38 | 324 |
独自の機能 | コンサートマジック | 曲のコード譜を自動作成(アプリ) | 音当てゲーム、日々の練習を記録(アプリ) |