私はヤマハ音楽教室でピアノ講師をしています。
発表会が近づくと、そんな心配も出てきますよね。
でも、大丈夫!
緊張は予防できるんです!
緊張には
- いい緊張
- 悪い緊張
があります。
「悪い緊張」は、ドキドキしすぎて、いつもはしないようなミスをしてしまうことも…。
でも、「いい緊張」なら、集中力が高まり、いつも以上に「いい演奏」ができることもあるんですよ。
つまり、適度な緊張は悪いことではない!
そもそも、発表会で
まったく緊張しない!
なんて無理ですよね。
それなら、緊張を受け入れつつ
- ふだん通りの演奏ができること
- 演奏に集中できること
を目指しましょう。
ということで、悪い緊張をしないための
緊張の予防法
を次の2つに分けて、お伝えしていきます。
- 悪い緊張をしないための6つの練習法
- メンタルをととのえる7つの方法
悪い緊張をしないための6つの練習法
悪い緊張をしないために、発表会までにやっておきたい練習法は次の6つ。
- いつも同じテンポで弾けるように
- テンポを落として練習
- 誰かに聴いてもらう
- 本番と同じ「服装」「靴」「髪型」で演奏する
- 暗譜を確実にする
- 余裕を持って弾けるまで練習
1つずつ、くわしく見ていきましょう。
いつも同じテンポで弾けるように
発表会で緊張すると、心拍が上がります。
すると、
いつもより速いテンポで弾き始めてしまう
ということも多いんです。
テンポが速くなると、いつも弾けているところで指がまわらなくなったりします。
すると、焦りから緊張が大きくなってしまうことも…
いつも同じテンポで弾き始められるように、ふだんの練習でもトレーニングしておきましょう。
具体的な練習法としては…
- 弾く前にメトロノームでテンポを確認する
- メトロノームを消し、頭の中で曲の始めの部分を再生する
- 弾き始める
などがあります。
自分の演奏を録音しておいて、
- 家事をしながら
- 通勤中
などに何度も聴いておくのもおすすめ。
発表会当日も「椅子に座るなりいきなり弾き始める」のではなく、頭の中でふだんの演奏をイメージしてから弾きましょう。
テンポを落として練習
1つ上で
いつも同じテンポで弾くための練習法
をお伝えしました。
曲が仕上がってくると、本番のテンポで練習をしますよね。
でも、曲が仕上がってきたときこそ、「ゆっくり練習」も取り入れてほしいんです。
なぜなら、慣れてきて「弾き流している部分」を意識することができるから。
練習を重ねていくと、曲のなかで弾きやすい部分って、何も考えなくても弾けるようになっていきませんか?
身体が覚えていて自動的に弾いちゃってるんですよね。
でも、発表会では、そういう部分が
とわからなくなったりするんです。
テンポを落とすことで、指の動きを意識しながら弾くことができます。
ゆっくり弾きながら、
- 指の動き
- 身体の動き
- 表現
をしっかり脳にインプットしておきましょう。
誰かに聴いてもらう
「一人で弾くふだんの練習」と、「聴いている人がたくさんいる発表会での演奏」。
同じように弾けないのは当たり前ですよね。
練習と本番とのギャップを少なくするために、誰かに聴いてもらうなどして「緊張を経験」しておきましょう。
聴いてもらう人がいない場合は、「録音する、動画を撮る」とかでもOK!
「おじぎ → 椅子の調整 → 演奏」のように本番と同じ流れでやることが大事!
緊張すると、思わぬところでミスをしたり、指がうまくまわらなかったり…ということがあります。
うまく弾けなかった部分は、余裕を持って弾けるように練習しておきましょう。
本番と同じ「服装」「靴」「髪型」で演奏する
- 弾くときに袖が邪魔になる
- 髪の毛で視界がさえぎられる
- 靴のせいでペダルがうまく踏めない
そんな状態では、実力が出せません。
- 服装
- 靴
- 髪型
を本番と同じにして弾いてみて、弾きにくくないか確認してくださいね。
1つ前にお伝えした「誰かに聴いてもらう」のときに、本番と同じ「服装」「靴」「髪型」で演奏するのもおすすめ。
なるべく、本番に近い状態を経験しておくといいですよ!
暗譜を確実にする
それだけは、避けたいですよね。
暗譜に不安があると、緊張も大きくなります。
子どもの頃は、特に対策をしなくても「暗譜できてた!」ということもあるかもしれませんが、大人はそうはいきません。
暗譜を確実にする方法は、なぜ暗譜は飛ぶのか?【暗譜を確実にする5つのコツをヤマハ講師が伝授】にくわしく書いています。
余裕を持って弾けるまで練習する
悪い緊張をしないための練習法、最後は
余裕を持って弾けるまで練習する
です。
当たり前のことですが、とても大事なこと!
緊張を悪化させる一番の原因は、準備不足からくる不安です。
そんなことを考えていると、緊張はどんどんふくらんでいきます。
- よく間違える
- 指がころんでしまう
など不安な部分は、なるべく早くなくしておきましょう。
メンタルをととのえる7つの方法
つづいて、「悪い緊張」をしないための
メンタルをととのえる方法
をお伝えします。
方法は次の7つ。
- 頭の中でリハーサルをする
- ポジティブにとらえる
- 身体をほぐす
- 心を落ち着かせるための「きっかけ」を持つ
- 緊張に対する身体の症状への対策
- 表現に集中する
- 「今」に集中する
頭の中でリハーサルをする
舞台袖で出番を待っている →
ピアノの前まで進みおじぎをする →
椅子の高さ調整をする →
椅子に座る →
演奏をする →
演奏が終わり舞台袖に戻る
という流れを頭の中で、イメージしましょう。
演奏の場面では、
- 音(聴覚)
- 鍵盤(視覚)
- 鍵盤に触れている感覚(触覚)
- 指の動き
など、細かくイメージしてください。
実際にピアノを弾かずにイメージするのは、けっこう難しいですが、できるまで何度も繰り返します。
すると本番の日、
初めてじゃない!
と脳に思わせることができるんです。
これをやるときは、気持ちが前向きになっているときがおすすめ。
なぜなら、落ち込んでる精神状態では、前向きなイメージができないからです。
ポジティブにとらえる
出番が近づくと、つい不安な気持ちが出てきますよね。
でも、マイナスなことを考えると、緊張はもっと大きくなります。
ではなく、
という気持ちを持ちましょう。
また、ドキドキしてきたら
と、とらえましょう。
身体をほぐす
緊張すると、肩や腕に力が入り、身体が固くなってしまうことがあります。
- 肩をまわす
- 腕や手のマッサージをする
- 軽くストレッチをする
- 深呼吸をする
など、本番前に、身体をほぐしておきましょう。
心を落ち着かせるための「きっかけ」を持つ
子供のころ、手のひらに「人」という字を3回書いて飲み込むというおまじないをしたことがありませんか?
スポーツ選手なら
スパイクは必ず右足から履く
とか、
芸人さんなら
収録のときは、赤いパンツをはく
など、自分なりの「おまじない」や「ゲン担ぎ」をやってる方も多いと思います。
「これをやっておけば大丈夫!」という自分なりのおまじないを持っておくと、それが心を落ち着かせるきっかけになりますよ。
緊張に対する身体の症状への対策
私は、緊張すると手が冷たくなってしまいます。
だから、演奏をするときは、ホッカイロを持って行っています。
緊張すると、手が汗ばむという方もいると思います。
そういった方は、ハンカチを持っていくといいですよ。
ハンカチは舞台上に持っていってOK!
弾く前に、鍵盤や手をさっとふいて、写真の部分に置いておくと客席からも見えません。
表現に集中する
と思っていると緊張が大きくなります。
少しくらいミスがあっても音楽が流れていれば、気にならないものです。
発表会では、「間違えないで弾くこと」ではなく、「表現に集中」しましょう。
- ピアノから出てくる音色をよく聴く
- 聴いている人に、音色、表現を伝えようという気持ちで弾く
ことに意識を向けてください。
「今」に集中する
発表会で演奏しながら、
なんて構えていると、だいたい弾けないものです(*_*)
また、
などミスを引きずっているとと、その後もミスしやすくなります。
先のことを心配したり、ミスを引きずったりしないで、「今」ピアノから出てくる音に集中しましょう。
まとめ
緊張の予防法を、
- 悪い緊張をしないための練習法
- メンタルをととのえる方法
にわけてお伝えしてきました。
あらかじめ緊張を予防しておくと、過度な緊張をしなくてすみます。
適度な緊張は集中力が高まり、いい演奏ができることも多いですよ。
せっかくの発表会、「出てよかった!」と思える発表会になりますように。