とりあえず、予算は10万円ぐらいでいいかな…。
とお悩みの方も多いと思いますが、電子ピアノを選ぶときに、先に予算を決めるのはおすすめできません。
なぜなら、
今回は、
- 子どもをピアノ教室へ通わせたい方
- ご自身がピアノ教室へ通いたい大人
のための、「電子ピアノの予算の決め方」について、お伝えします。
具体的には…
- 電子ピアノの予算の決め方 (価格による違い)
- 【価格帯別】人気の電子ピアノ
読んでもらえたら、
「買ってから後悔…」ということもなくなると思います!
電子ピアノの予算の決め方
- 子どもをピアノ教室へ通わせたい
- ご自身がピアノ教室へ通いたい
そういった方が、電子ピアノの予算を決めるとき、基準となるのは「その電子ピアノを何年ぐらい使うか」です。
- いずれ買い替える予定で、数年間使うのであれば10万円台
- 長く使いたいなら → 20万円以上
の電子ピアノを購入することをおすすめします。
10万円未満の電子ピアノの特徴
10万円未満の電子ピアノは、ピアノ教室へ通う方にはあまりおすすめできません。
なぜなら
10万円未満の電子ピアノの鍵盤は軽くて、グランドピアノとのギャップが大きいから
ピアノ教室では、グランドピアノを使ってレッスンをするところが多いんです。
レッスンで使うピアノの鍵盤と、家の電子ピアノの鍵盤のギャップが大きいと、
- 家では弾けるのにレッスンでは弾けない
- がんばって練習しているのに上達しない
ということになり、ピアノを弾くことが嫌になってしまうかもしれません。
10万円台の電子ピアノの特徴
10万円台の電子ピアノになると、重みのある鍵盤になって、グランドピアノのタッチに近づいてきます。
しかし、10万円台の電子ピアノでは、上達に限界があります。
なぜなら、
- 10万円未満の電子ピアノに比べると、グランドピアノの鍵盤タッチに近いものの、まだギャップがあるから
- 音色の豊かさなど、「表現」にグランドピアノとのギャップがあるから
上の2つの理由から、いずれ、上達のために必要な練習ができなくなってしまいます。
私の生徒さんで、毎日練習をしてくれている生徒がいます。
曲が弾けるようになるのも速く、本人もピアノが大好きで、生き生きと表現してくれていました。
でも、
曲のレベルが上がり、繊細な表現が求められるようになったときに、うまく音色をコントロールすることができないんです。
速い音符や細かい指の動きも、なかなか弾けるようにならないということも、出てきました。
彼女が家で使っていたのは、
10万円台の電子ピアノでした。
このように、ある程度までは10万円台の電子ピアノでも、力がついていきますが、限界があります。
15万円台の電子ピアノの特徴
私は、15万円台の電子ピアノを購入するなら、もう少し予算を上げて20万円台の電子ピアノを購入する方がいいと思っています。
なぜなら15万円台より、20万円台の電子ピアノの方が、
- 鍵盤タッチ
- 音
がグッとリアルになり、グランドピアノに近づくからです。
例として、ヤマハの「CLP735」(15万円クラス)と「CLP745」(20万円クラス)を比べてみますね。
CLP735 |
鍵盤 樹脂鍵盤 |
スピーカー 2つ |
CLP745 |
鍵盤 木製鍵盤 |
スピーカー 4つ |
「CLP735」は、樹脂鍵盤ですが、「CLP745」は木製鍵盤です。
樹脂鍵盤と木製鍵盤では、弾き心地が大きく変わります。
樹脂鍵盤は、中身が空洞ですが、木製鍵盤は、中身のつまった一本の木なので、安定感があり、鍵盤の戻りも速いので連打性にもすぐれています。
またスピーカーの数が、「CLP735」では、2つ、「CLP745」では4つになります。
グランドピアノは、楽器全体から音が鳴るのに対して、電子ピアノはスピーカーのある場所からしか音が鳴りません。
15万円台の電子ピアノを購入するなら、20万円まで予算を上げた方が、長く使い続けることができます。
20万円台の電子ピアノの特徴
20万円台になると、ほとんどの機種が「木製鍵盤」になります。
スピーカーの数も4つ〜6つになり、グランドピアノに近い立体的な響きになります。
出せる音色の幅も広がり、豊かな表現ができるようになります。
ピアノのレッスンでは、楽譜通り曲を弾くことより、
- どのように表現するか
- どんな音で弾くか
ということに時間をかけていきます。
ピアノの楽譜にも、次のように、表現を指示する記号や用語がたくさんあります。
f (フォルテ) | 強く弾く |
---|---|
p (ピアノ) | 弱く弾く |
. (スタッカート) | 音を短くきって弾く |
cantabile(カンタービレ) | 歌うように |
leggero(レジェロ) | 軽やかに |
グランドピアノは、タッチによって無限に音色が変わります。
一方、電子ピアノの場合、どこまで音色の表現ができるかは、価格帯によって大きく変わります。
演奏表現力を育てるために、大事なのは
タッチによって変わる音色を聴き分けながら、練習をすること
です。
演奏表現力をのばすためにも、ピアノ教室へ通う方には20万円以上の電子ピアノがおすすめです。
30万円台の電子ピアノの特徴
各メーカー、最高クラスの鍵盤を搭載しています。
グランドピアノの鍵盤とのギャップも、かなり少なくなりますよ。
たとえば、カワイ「CA701」に搭載されている鍵盤は…
- 指に吸いつくような高い連打性
- グランドピアノに匹敵する長い支点距離
- グランドピアノ同様、強打のときには低音域は重く、高音域は軽く感じる
など、細かい部分までグランドピアノのタッチが再現されています。
40万円台の電子ピアノの特徴
30万円台の電子ピアノと同様に、最高クラスの鍵盤が搭載されています。
30万円台の電子ピアノと違ってくるのは、音の良さ!
各メーカー、
- スピーカーの数が増える
- アンプ出力が大きくなる
など、迫力のある立体的な音になっています。
スピーカーシステムも次のように進化して、アコースティックピアノに近い響きで演奏が可能!
- 生ピアノの響板と同じスプルース材をスピーカーコーンに使用 → ヤマハ CLP-785
- 生ピアノのように響板を搭載したスピーカー → カワイCA901
という方に、おすすめの価格帯です。
【価格帯別】人気の電子ピアノ
価格帯別に人気の電子ピアノをご紹介します。
比べたのは、次の5つの電子ピアノの人気メーカーです。
- ヤマハ(YAMAHA)
- カワイ(KAWAI)
- カシオ(CASIO)
- ローランド(Roland)
- コルグ(KORG)
10万円台の人気電子ピアノ
第1位 カワイ CN201
鍵盤タッチで選ぶなら、10万円台の電子ピアノで、一番おすすめなのが、カワイのCN201。
「グランドピアノに近い鍵盤タッチを持つモデルを選ぶことがピアノ上達の早道になる」というのがカワイの考え方!
私も、ヤマハ、カワイ、カシオ、ローランド、コルグの10万円台の電子ピアノを弾き比べてみましたが、グランドピアノのタッチに一番近いと感じたのが、カワイのCN201でした。
3つの鍵盤センサーにより、
- 連打性にすぐれている
- 細かい表現も可能
という特徴もあります。
10万円台の電子ピアノの中では、他メーカーの鍵盤と比べても、最高レベルの鍵盤だと思います。
第2位 ヤマハ YDP-165
アコースティックピアノ特有の共鳴音を再現する技術「バーチャル・レゾナンス・モデリングライト」により、響きがとても豊かなのが特徴!
また、「キーオフサンプリング」という技術により、鍵盤から指を離したあとの「音の余韻」までもが、とてもリアルになっています。
20万円台の人気電子ピアノ
第1位 ヤマハ「CLP-745」
ヤマハの電子ピアノは、連打性にすぐれています。
連打とは、同じ音を速く弾き続けることなんですが、グランドピアノでは1秒間に14回以上の連打が可能なんです。
電子ピアノは、機種によっては速い連打に対応できず、音が切れてしまうものもあります。
ヤマハの「CLP-745」は、連打性が高く、速いトリルも弾きやすいです。
鍵盤は木製鍵盤で、スピーカーも4つあるので、「鍵盤タッチ」「音」ともに質がよく、20万円代では、人気の機種です。
第2位 ローランド 「HP704」
ローランドの「HP704」の鍵盤は、ローランド独自の木材と樹脂を組み合わせた鍵盤。
「木製鍵盤のタッチ」と「樹脂鍵盤の丈夫さ」を両立しています。
音源は、音色がとても豊かなモデリング音源を搭載!
現在、電子ピアノで主流の音源は、サンプリング音源。
「サンプリング音源」は、グランドピアノの鍵盤、すべてを1鍵1鍵、サンプリングして作られています。
タッチの強さに分けて、きめ細かくサンプリングすることで、豊かな音色を出せますが、サンプリングされていない音色を出すことはできません。
一方、モデリング音源は、電子ピアノの中で音を作り出す音源。
弾いた瞬間に、グランドピアノの共鳴をシュミレートして、音を作り出すんです。
そのため、グランドピアノのように、弾くたびに音色が変わります。
25万円台の人気電子ピアノ
この価格帯でご紹介するヤマハの「CLP-775」と、カワイ「CA701」は、どちらも人気機種のため、順位はつけずにご紹介しますね。
ヤマハ 「CLP-775」
ヤマハの電子ピアノの中で、最上位の鍵盤を搭載しています。
グランドピアノの鍵盤は、
- 1鍵1鍵の重さが違う
- タッチによって感触も変わる
のですが、ヤマハ 「CLP-775」は、それを忠実に再現しています。
それから、ヤマハの電子ピアノは、連打性にとてもすぐれているんですが、特にこの価格帯になると、驚くほど、トリルや連打が弾きやすいんです。
カワイ 「CA701」
グランドピアノに近い鍵盤タッチを持つモデルを選ぶことがピアノ上達の早道になる。
というのが、カワイの電子ピアノの考え方です。
「CA701」に搭載されている鍵盤は、グランドピアノと同じシーソー式の構造になっています。
また、鍵盤の先から支点までの距離が、グランドピアノに匹敵する長さになっていて、
- タッチがグランドピアノにとても近い
- 鍵盤の奥の方でも弾きやすい
のが、特徴!
- 鍵盤の戻りが速く、指に吸い付くような高い連打性
- グランドピアノのように強打と弱打で手応えが変わる
など、細かい部分まで、グランドピアノのタッチ感が再現されているため、上級者でも満足できる鍵盤ですよ。
30万円台の人気電子ピアノ
この価格帯では、順位をつけずにご紹介します。
ローランド 「LX706」
ローランドの電子ピアノは、タッチに対する反応がよく、強弱表現も豊かです。
また、
ピアノの音色のときだけですが、同時発音数が無制限なので、ペダルを使った曲も豊かな響きで演奏できます。
それから、「LX706」の音源は、電子ピアノでは、ローランドだけが採用しているモデリング音源です。
電子楽器専門メーカーであるローランドならではの高い技術によって、表情豊かな演奏をすることができます。
ヤマハ 「CLP-785」
鍵盤は、25万円台でご紹介したヤマハ 「CLP775」と同じ、「グランドタッチ鍵盤」です。
1鍵1鍵重さの違うグランドピアノの鍵盤を忠実に再現した鍵盤です。
さらに、「CLP-785」では、カウンターウェイトがついています。
カウンターウェイトとは、グランドピアノの鍵盤についている「おもり」のことなんですが、「CLP-785」の鍵盤にもカウンターウェイトがついています。
これによって、
それから、スピーカーには、グランドピアノの響板と同じ素材を使っています。
(響板とは、グランドピアノの中にある大きな木の板なのですが、木は人の耳に不快に響く音を吸収して、自然な響きと余韻を作ります。)
これによって、グランドピアノのような
- のびやかな低音
- 立ち上がりのいい高音
- 美しい余韻
が作られます。
カワイ 「CA 901」
鍵盤は、25万円台のところでご紹介したカワイ「CA701」と同じ、カワイでは最上位の鍵盤です。
さらに「CA 901」では、TWIN DRIVE響板スピーカーシステムを搭載!
響板とは、グランドピアノの中にある大きな木の板です。
グランドピアノは、弦の振動が響板に伝わることで、美しく迫力のある音が鳴ります。
カワイ「CA 901」の本体背面には、響板(木の板)が取り付けられていて、音を鳴らすとこの響板が振動します。
木は、人の耳に不快に響く音を吸収して、自然な響きと余韻を作ります。
「CA 901」では、スピーカーから鳴った音が、響板に伝わることで、グランドピアノさながらの迫力のある音と美しい余韻を生み出します。
さらに、
上面に向けてつけられたスピーカーによって、さらにグランドピアノのような響きになっています。
グランドピアノに一番、近い電子ピアノについては、グランドピアノに近い電子ピアノ【上級者も満足できるメーカーとは】に書いています。
まとめ
電子ピアノは、価格帯によって大きく性能が変わります。
そのため、初めに予算を決めるのではなく、
- どのレベルまで上達したいのか
- その電子ピアノを何年ぐらい使うのか
を考えてから、予算を決めましょう。
電子ピアノを長く使うのであれば、20万円以上の電子ピアノをおすすめします。
という方には、10万円台の電子ピアノがおすすめです。
高い買い物であるからこそ、将来、後悔しない電子ピアノを選んでもらえたらと思います。