私はヤマハ音楽教室で講師をしています。
今とは違う電子ピアノで練習していたら、もっと演奏力がのびたはずなのに!
と思う子供の生徒を何人も見てきました。
どんな電子ピアノで練習するかによって、上達に大きな差が出ます。
とはいえ…
とお悩みの方も多いと思います。
そこで、今回は
子供の演奏力を伸ばすために、どんな電子ピアノを選べばいいか
について、次の順番で解説していきます。
- 子供の電子ピアノの選び方
- 予算の決め方
- 価格帯による性能の違い
- 子供におすすめの電子ピアノ5選
Contents
子供の電子ピアノの選び方
という生徒をたくさん見てきました。
なぜ、そうなるかというと、家の「電子ピアノ」と、教室の「グランドピアノ」とのギャップが大きいから。
グランドピアノとのギャップがある電子ピアノでは、
- 指の力がつかない
- 演奏表現力が育たない
というデメリットがあるんです。
子供の電子ピアノを選ぶときに、一番大切なのは、「グランドピアノとのギャップを小さくする」ということ!
ポイントは、次の3つ!
- 鍵盤タッチ
- 表現力
- 連打性
1つずつ、くわしく見ていきましょう。
鍵盤タッチ
家では弾けたのに教室では弾けない!
となってしまう理由は、家にある電子ピアノの鍵盤が、グランドピアノに比べて軽いから。
ちゃんと練習しているのに、レッスンでうまく弾けないのはかわいそうですよね。
それに、家の電子ピアノの鍵盤が軽いと、グランドピアノで弾くときに手のフォームがくずれてしまうこともあります。
正しい弾き方を身につけるためにも、鍵盤タッチがグランドピアノに近いモデルを選びましょう!
表現力
グランドピアノは、内部に弦があり、鍵盤を押すと、ハンマーが弦を打つ仕組みになっています。
鍵盤タッチによって、「音量」や「音色」が無限に変わるのが、グランドピアノの特徴!
そこで、子供のための電子ピアノを選ぶときに大事なのが、表現力!
つまり、「どれだけ音色が豊かに変化するか」です。
表現力に関係するポイントは、次の3つ。
- 音源
- モデリング技術
- スピーカー数
のちほど、くわしく解説しますね!
連打性
連打性とは、トリルなどの細かい音符を弾いたり、同じ音を連続で速く弾くときに、どれだけ電子ピアノが反応できるかということです。
グランドピアノは、1秒間に何回、同じ音を続けて弾くことができると思いますか?
電子ピアノはというと、モデルによって違うんです。
モデルによっては、指の速い動きに反応できずに音がポツポツと、とんでしまうものもあります。
となってしまわないよう、電子ピアノを選ぶときは、連打性もチェックしましょう!
予算の決め方
長く電子ピアノを使い続けるなら、20万円〜の電子ピアノがおすすめ!
なぜなら、20万円〜の電子ピアノであれば、木製鍵盤が搭載されているモデルが多いから。
木製鍵盤は、
- 鍵盤タッチがグランドピアノに近い
- 連打性にすぐれている
という特徴があります。
とはいえ、
という方もいらっしゃいますよね。
はじめは、10万円クラスの電子ピアノを購入し、必要になれば
- アコースティックピアノ
- 電子ピアノの上位モデル
に買い替える方もいます!
それでは、次のパートで、価格帯による性能の違いについて解説していきます。
価格帯による性能の違い
子供の演奏力に関係がある違いは、次の3つです。
- 鍵盤
- 音源
- スピーカーの数
1つずつ、見ていきましょう。
鍵盤
電子ピアノの鍵盤には次の3種類があります。
- 樹脂鍵盤
- 木製鍵盤
- アコースティックピアノと同様のアクション機構を搭載した鍵盤
価格帯の目安としては…
- 樹脂鍵盤…〜10万円台
- 木製鍵盤…20万円〜
- アコースティックピアノと同様のアクション機構をとり入れた鍵盤…30万円〜
樹脂鍵盤より木製鍵盤の方がグランドピアノの鍵盤タッチに近くなります。
なぜなら木製鍵盤は、
- 樹脂鍵盤に比べて長さがあるため鍵盤の奥の方でも弾きやすい
- ブレが少なく連打性にすぐれている
からです。
樹脂鍵盤は、木製鍵盤に比べると鍵盤が短いんです。
そのため、鍵盤の奥の方を弾いたとき、沈みが浅くなり、グランドピアノの鍵盤とギャップを感じやすくなります。
また、樹脂鍵盤は中身が空洞です。
中身のつまった木製鍵盤の方が安定していて元の位置に戻るのも速く、連打性にすぐれています。
音源
電子ピアノの音は、グランドピアノの音をサンプリング(録音)して作られています。
グランドピアノの音をサンプリングして作られた音源をサンプリング音源といいます。
サンプリング音源は、メーカーごとにレベルがあります。
タッチによって変わるグランドピアノの音色を細かくサンプリングしている音源ほど表現力が豊かになります。
音源にはモデリング音源というものもあります。
弾いた瞬間に「このタッチならどんな音色が出るか」ということを電子ピアノ内部でシュミレーションして音色を作り出す音源。
モデリング音源は、ローランドの電子ピアノで使われています。
スピーカーの数
グランドピアノは楽器全体から音が鳴りますが、電子ピアノはスピーカーのある場所からしか音が鳴りません。
スピーカーの数が多い電子ピアノほど音が立体的に聴こえ、グランドピアノの聴こえ方に近くなります。
また、スピーカーの数が少ないと、音量を小さくしたときに、強弱がつきにくいというデメリットがあります。
子供におすすめの電子ピアノ5選
では、子供の演奏力をのばすことができる電子ピアノをチェックしていきましょう。
- 10万円クラスの電子ピアノ
- 20万円以上の電子ピアノ
にわけて紹介していきます。
10万円クラスで子供におすすめの電子ピアノ
カワイ CN201
10万円クラスの電子ピアノの鍵盤は、どのメーカーも樹脂鍵盤です。
樹脂鍵盤は、木製鍵盤に比べるとタッチが軽め。
でも、カワイのCN201は、ほかのメーカーの樹脂鍵盤に比べると、しっかりとした重みのあるタッチになっています。
理由は、カワイ独自の鍵盤ウェイトにあります。
鍵盤ウェイトとは…鍵盤内部のおもり
白鍵、黒鍵の内部におもりを入れることで、木製鍵盤に近い重みがあるだけでなく、コントロールもしやすくなっています。
鍵盤タッチが購入の決め手になりました!
また、鍵盤には、センサーが3つあり、
- 連打性にすぐれている
- 細かい表現が可能
なのも特徴!
ヤマハ YDP-165
鍵盤には、3つのセンサーが搭載されていて、連打性が高く、トリルや装飾音符も弾きやすいのが特徴!
また、アコースティックピアノ特有の共鳴音を再現する技術「バーチャル・レゾナンス・モデリングライト」により、響きが豊か!
さらに、「キーオフサンプリング」という技術により、鍵盤から指を離したあとの「音の余韻」までもが、とてもリアルになっています。
20万円以上の子供におすすめの電子ピアノ
20万円以上の電子ピアノになれば、
- 鍵盤タッチ
- 表現力
が、グランドピアノにぐっと近づきます。
なぜなら20万円以上の電子ピアノは
- 木製鍵盤
- 表現力が豊かな音源
- スピーカー数が多い
からです。
子供の演奏力をのばすことができ、1台を長く使い続けることができますよ。
それでは、子供におすすめの電子ピアノを見ていきましょう。
カワイ CA59
カワイは鍵盤にこだわって電子ピアノを製造しているメーカーです。
ヤマハの木製鍵盤は白鍵のみ木製ですが、カワイは白鍵も黒鍵も木製。
また、グランドピアノと同じシーソー式の構造を取り入れた鍵盤なので、グランドピアノにとても近いタッチになっています。
音はというと、世界でも評価の高い音響機器メーカー「オンキヨー」とのコラボによって開発した再生システムを搭載していて、とても自然でクリアな響きです。
- アコースティックピアノメーカー「カワイ」の技術を生かした鍵盤と音源
- 音響機器メーカー「オンキヨー」の技術を生かした再生システム
ヤマハ CLP745
グランドピアノの鍵盤は
- 優しく弾いたとき → 軽い
- 強く弾いたときは → しっかりとした手応えを感じる
というようにタッチによって指先に伝わる手応えが変わるんです。
そういったタッチ感の変化まで再現されているがCLP745に搭載されているグランドタッチ-エス鍵盤。
そして注目したいのが、グランド・エクスプレッション・モデリング。
これは、無限に変化するグランドピアノの音色を再現する技術です。
- 淡い音色
- くっきりとした音色
- あまい音色
など思ったとおりの音色表現が可能!
カシオ GP-310
GP-310の魅力は、なんといっても鍵盤!
GP-310には、グランドピアノのアクション機構がそのまま搭載されているんです。
鍵盤を押すとハンマーが弦をたたくというアコースティックピアノの仕組みのこと。
かんたんに言うと、GP-310には、グランドピアノの鍵盤からハンマーまでの部分が入っています。
電子ピアノなので弦はありませんが、鍵盤とハンマーの動きがグランドピアノと力学的に同様なので、タッチ感はグランドピアノそのもの!
GP-310であれば、
なんてことは、なくなると思います。
まとめ
どんな電子ピアノで練習しているかによって、子供の演奏力に大きな差が出ます。
子供の電子ピアノを選ぶときに大切なポイントは3つ!
- 鍵盤タッチ
- 表現力
- 連打性
この3つが、グランドピアノに近い電子ピアノであれば、子供の演奏力をのばすことができ、長く使うことができます。
ここで紹介した電子ピアノより、さらにグランドピアノに近いモデルを見てみたい方はグランドピアノに近い電子ピアノ【上級者も満足できるメーカーとは】もチェックしてください。