私はヤマハ音楽教室で講師をしています。
子供に買ってあげるなら、どちらを選べばいい?
アコースティックピアノと電子ピアノの違いをかんたんに言うと
弦があるか、ないか
です。
それによってどんな違いが出てくるのかを具体的にお伝えしていきますね。
電子ピアノとアコースティックピアノの3つの違い
アコースティックピアノと電子ピアノの大きな違いの1つが、
弦があるか、ないか
ということです。
アコースティックピアノ | 弦がある |
---|---|
電子ピアノ | 弦がない |
弦があるか、ないかで次の3つに違いが出てきます。
- 音が出る仕組み
- 表現力
- 鍵盤タッチ
1つずつ、詳しく見ていきましょう。
音が出る仕組み
音が出る仕組みをアコースティックピアノと電子ピアノにわけて、見ていきましょう。
アコースティックピアノ
アコースティックピアノの内部にはたくさんの弦が張られています。
鍵盤を押すと、鍵盤の奥にあるハンマーが弦をたたき、音が鳴ります。
弦の振動は、弦の下にある大きな木の板(響板)に伝わり、響板が空気を振動させることで大きな音が鳴ります。
電子ピアノ
電子ピアノの音は、本物のグランドピアノの音を録音して作っています。
これを音源といいます。
鍵盤を押すと、センサーが指の動きを感知して、音源を再生します。
音源は、グランドピアノの88鍵を1つずつ録音しています。
同じ音でも、
- 強く弾いたとき
- 弱く弾いたとき
- 短く弾いたとき
- 長く弾いたとき
など、細かくわけて録音しているため、タッチに合わせた音が再生される仕組みになっています。
表現力
表現力の違いをアコースティックピアノと電子ピアノにわけて、見ていきましょう。
アコースティックピアノ
アコースティックピアノは、約8,000〜10,000個もの部品からできています。
それぞれのパーツが複雑に影響し合って、独特の美しい音色が生まれます。
例えば、鍵盤を底まで強く押せば、鍵盤が鍵盤下の板に当たり、その衝撃が弦に伝わって音色が変化します。
電子ピアノ
電子ピアノの音は、グランドピアノの88鍵盤の音を1つずつ録音して作られています。
でも、録音した音を再生するだけでは、音色の変化は限られてしまいますよね。
じゃあ、どうやって音色を変化させるかというと、モデリングという技術を使っているんです。
このタッチならどんな音色が出るかということをシュミレーションして音色を変化させる技術です。
例えば、ヤマハに「バーチャル・レゾナンス・モデリング」というのがあります。
これは、アコースティックピアノの共鳴音を再現する技術です。
アコースティックピアノは、弦の振動が、他の弦やピアノ内部のパーツに伝わることで共鳴音が生まれます。
ヤマハの「バーチャル・レゾナンス・モデリング」では、タッチやペダルに応じた共鳴音を響かせることで、アコースティックピアノの多彩に変化する音色を再現しています。
そのほかにも、メーカーによっていろいろなモデリング技術があります。
鍵盤タッチ
鍵盤タッチの違いをアコースティックピアノと電子ピアノにわけて、見ていきましょう。
アコースティックピアノ
鍵盤を押す → 鍵盤の奥にあるハンマーが弦をうつ
という、アコースティックピアノの仕組みをアクションといいます。
このアクションによって、アコースティックピアノの鍵盤は、少し重みのあるタッチになっています。
電子ピアノ
電子ピアノには弦がないため 、アコースティックピアノのアクションのような仕組みはありません。
そのため、鍵盤の構造を工夫してアコースティックピアノの鍵盤タッチに近づけています。
また、アコースティックピアノのアクションをほぼそのまま搭載した電子ピアノもあるんですよ。
→ハイブリッドピアノといいます。
アクションをそのまま搭載しているので、鍵盤タッチはアコースティックピアノそのもの!
アコースティックピアノのメリット
アコースティックピアノのメリットは次の2つです。
- 弾くたびに変化する豊かな音色
- 定期的な調律によって長持ちする(きちんとメンテナンスすれば50年以上経っても弾けます)
電子ピアノのメリット
電子ピアノのメリットは次の5つです。
- アコースティックピアノに比べて軽くてコンパクト
- 音量の調節ができる、ヘッドホンでも練習できる
- 調律しなくていい
- ピアノ以外の音色でも弾ける
- 多彩な機能
電子ピアノには、例えば、次のような機能がついています。
- 録音機能
- 内蔵曲
- メトロノーム機能
内蔵曲は、再生するだけではなく、レッスン機能がついているモデルもあります。
そのほか、自動伴奏を楽しんだり、便利なアプリと接続したりできる電子ピアノもありますよ。
アコースティックピアノと電子ピアノはどちらを選ぶべき?
次のような方には、アコースティックピアノがいいと思います。
- 音高、音大を目指したい
- コンクールにも積極的に出場したい
弦があり、空気を振動させることで音が鳴るアコースティックピアノは、弾くたびに音色が変わります。
変化する音色を弾きわけることで、演奏表現力が育ちます。
そのため、本格的にピアノを習いたい方にはアコースティックピアノがおすすめです。
一方、電子ピアノは次のよう方におすすめです。
- 住宅環境でアコースティックピアノを置けない
- 時間を気にせずに練習したい
私の教室には、電子ピアノで練習している生徒もたくさんいます。
中学生や高校生になって、部活などで帰りが遅くなっても、ちゃんと練習してきてくれていますよ!
今の電子ピアノは、モデルにもよりますが、表現力もかなりアップしています。
しっかりと演奏表現力を育てることができる電子ピアノもありますよ。
子供の演奏表現力を育てる電子ピアノの選び方は、演奏力に差がつく!子供のための電子ピアノの選び方とおすすめ5選で詳しく書いています。
まとめ
アコースティックピアノと電子ピアノの大きな違いは…
弦があるか、ないか
それによって次の3つに違いが出てきます。
- 音が出る仕組み
- 表現力
- 鍵盤タッチ
アコースティックピアノにも電子ピアノにも、それぞれのメリットがあります。
ピアノは長く続けてこそ、力がつく楽器です。
アコースティックピアノにするか、電子ピアノにするか…
長い目で見て考えて、選んでくださいね。
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