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指の独立のためのトレーニング法 | ピアノで指が動かない理由

指の独立のためのトレーニング法 | ピアノで指が動かない理由
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ピアノの先生
ピアノの先生
こんにちは。
私はヤマハ音楽教室でピアノ講師をしています。
指が思うように動かない…。
細かい音符をきれいに弾けない!
どんな練習をしたら、指がスラスラ動くようになるんだろう?

という悩む方も多いですよね。

指が思うように動かないのには、理由があります。

そして、トレーニングをすれば、指は必ず動きやすくなります!

それでは

  1. 指がスラスラと動かない理由
  2. なぜトレーニングをすると指が動きやすくなるのか
  3. 指の独立のためのトレーニング法
  4. おすすめの指のトレーニングの教本

の順番で解説していきます!

指がスラスラと動かない理由

どうして、指をスラスラと動かすことができないんだろう?

それは、

脳の仕組みが、指を1本1本、独立して動かせるようになっていないから

たとえば、薬指を1本だけ、動かしてみてください。

他の指もつられて動いてしまいませんか?

また、次の2つをやってみてください。

  • 他の指は動かさないように注意しながら、中指を1本だけ動かす
  • 物をつかむように全ての指をまとめて動かす

全ての指をまとめて動かす方が、簡単だし速く動いたと思います。

人間の脳は、指を1本だけ動かすより、まとめて動かす方がやりやすい仕組みになっているんです。

だから、ピアノを弾く時のように「指がそれぞれ違う動きをする」というのは、脳にとって大変なこと。

でも、指のトレーニングをすることで、指の独立をうながし、スラスラと動かせるようになっていきますよ。

なぜトレーニングをすると指が動きやすくなるのか

指のトレーニングは「脳のトレーニング」でもあります。

なぜかというと、指が1本1本「独立して動かない」のは、「脳の仕組み」によるから。

私達の脳は、一つ(一まとまり)の脳細胞が一本の指を動かすという仕組みになっていないので、一本だけ指を動かそうと思うと、脳は「大変」だと思うわけです。
引用元:http://www.piano.or.jp/report/03edc/brain/2010/03/29_10477.html

そして、練習をすることによって脳の中で変化が起こり、指が動きやすくなるそうです。

指を動かす訓練を積むと、指を動かす際に働く脳細胞の数が減ることが知られています。したがって、「指同士を独立に動かせるようになるのは、脳の中での変化が起こるから」というのが、現在最も妥当な説明づけと考えられています。
引用元:http://www.piano.or.jp/report/03edc/brain/2010/03/29_10477.html

ピアノの先生
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つまり、トレーニングをすることによって、脳をたくさん働かせなくても、指が独立して動くようになるということですね!

では、指の独立のためのトレーニング法を見ていきましょう。

指の独立のためのトレーニング法

指の独立のためのトレーニング法は次の4つ。

  1. 5本の指をまんべんなく使った練習
  2. 保持音を使った練習
  3. スタッカート、リズム変奏などパターンを変えて練習
  4. 右手と左手でアーティキュレーション、強弱を変える

1つずつ、くわしく見ていきましょう。

5本の指をまんべんなく使った練習

指の独立とは、

どの指も同じように動かせるようになること

3の指や4の指が動きにくい!
5の指でしっかりした音が出ないなぁ…。

ということがなく、

どの指も同じように使えるようにする

それが指の独立です。

そのため、5本の指をまんべんなく使う練習を取り入れましょう。

また、

右手の指は動くけど、左手の指が思うように動かない…。

という方も多いですよね。

  • 右手
  • 左手

どちらの指も使ったトレーニングをしていきましょう。

ピアノの先生
ピアノの先生
のちほど、おすすめの教本をお伝えしますね。

保持音を使った練習

上のパートで、

どの指も同じように動くようにするため

に、5本の指をまんべんなくトレーニングすることが大事だとお伝えしました。

でも…

もともと、2の指は動かしやすいし、1の指は強い音が出しやすいな…。

という方も多いと思います。

つまり、どの指も同じように動くようにするためには、

  • 弱い指
  • 動かしにくい指

中心にトレーニングすることも大事。

そのために効果的なのが…

保持音を使った練習

です。

保持音を使った練習って?
ピアノの先生
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1本、または何本かの指で鍵盤を押さえたまま、それ以外の指を動かすという練習です。

この練習、はじめは、むずかしく感じるかもしれません。

なぜなら、人は、指をまとめて動かす方が得意だから。

「ある指を動かさないまま、他の指を動かす」というのは、脳にとって大変なことなんです。

でも、日々このトレーニングをしていると、脳から指1本1本への命令の伝達

  • 速く
  • 正確に

なっていくので、指が独立して動くようになりますよ。

ピアノの先生
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このトレーニングができる、おすすめの教本は、のちほどお伝えしますね。

スタッカート、リズム変奏などパターンを変えて練習

指を動かしやすくするためには、レガートで弾くだけではなく

  • スタッカート
  • リズム変奏
  • アクセント位置を変えて

などの練習効果的。

この練習は、トレーニングの教本だけでなく、練習している曲の中

指が転んでしまって、うまく弾けない…。

という部分があったときにも使えますよ!

右手と左手でアーティキュレーション、強弱を変える

指の独立のためのトレーニング法、4つ目は、

右手と左手でアーティキュレーション、強弱を変える

です。

アーティキュレーションとは

「つなぎ方」「切り方」などで、音に表情をつけること。

  • スラー
  • スタッカート
  • アクセント
  • テヌート

などの記号があります。

曲の中では

右手はスタッカートで、左手はスラー

という部分もたくさん出てきますが、右手と左手で違う表現をするのはむずかしいですよね。

トレーニングの教本を使い、

  1. 右手と左手でアーティキュレーションを変える
  2. 右手と左手で強弱を変える

などのトレーニングをして、右手と左手で違う表現ができるようにしていきましょう。

おすすめの指のトレーニングの教本

指のトレーニングの教本で、おすすめは次の7つ。

中級者におすすめ
  • ハノンピアノ教本
  • リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集
上級者におすすめ
  • ピシュナ 60の練習曲
  • ドホナーニ/指の練習
初級者におすすめ
  • ピアノの基本 テクニックマスター
  • 大人からはじめるハノンピアノ教本
  • バーナムピアノテクニック

1つずつ、くわしく見ていきましょう。

中級者におすすめ

まずは、中級者の方におすすめの

  1. ハノンピアノ教本
  2. リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集

について、見ていきましょう。

ハノンピアノ教本

ハノンは、指のトレーニングの教本として、とてもよく使われています。

前半部分では、ほとんどの曲が

  • 右手と左手が同じ音(ユニゾン)
  • 同じ音型の繰り返し

になっているので、譜読みが楽!

そのため、譜読みに時間がかからず、効率よく5本の指を使ったトレーニングができますよ。

また、ハノンピアノ教本にある全調の

  • スケール
  • アルペジオ

は、ぜひ日々の練習に取り入れてください!

ピアノの先生
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「スケール」や「アルペジオ」が正しい指使いでスラスラ弾けると、いろんな曲がとても弾きやすくなりますよ!

リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集

「リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集」は、ハノンピアノ教本のように、

  • 曲の形になっていない
  • 同じ音型を繰り返す

指のトレーニングの教本です。

ハノンとの違いは

  • 右手と左手が違う動きをする
  • 1小節ごとに調が変わる(ハノンは1曲を通してハ長調)
  • 保持音を使った練習ができる

です。

「リトル ピシュナ」は、保持音を使った練習ができるため、「指の独立」に効果的!

たとえば、No.10〜No.12は、

1、2の指で重音を押さえたまま、4、5の指を動かす

という練習。

これは「4、5の指の独立、強化」に効果的。

また、

  • No.15〜No.16→3、4、5指の独立
  • No.17〜No.18→2、3指の独立

など、いろいろなパターンの練習があるので、

  • 弱い指
  • 動かしにくい指

を重点的に、トレーニングできますよ!

また、「リトル ピシュナ」は、1小節ごとに調が変わります。

つまり、黒鍵をたくさん弾きます。

黒鍵は、白鍵より鍵盤の奥の方にあるため、白鍵と同じようには弾けませんよね。

黒鍵を使ったトレーニングができるのも「リトル ピシュナ」のメリットです。

ピアノの先生
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ハノンをやっている方にも、ぜひ取り入れてほしい一冊です。

ちなみに「リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集」は、次に紹介する「ピシュナ 60の練習曲」への導入として書かれたものです。

上級者におすすめ

続いて、上級者の方におすすめの

  1. ピシュナ 60の練習曲
  2. ドホナーニ/指の練習

について、見ていきましょう。

ピシュナ 60の練習曲

「ピシュナ 60の練習曲」は、

  • 保持音
  • トリル
  • 重音
  • アルペジオ

など、さまざまなテクニックを組み合わせて作られています。

たとえば…

右手で「保持音とトリル」を弾き、左手で「アルペジオ」を弾く

という練習があります。

こういった練習の目的は、いくつかのテクニックを同時に弾きながら、聞き分けられるようになること。

つまり、「楽譜通りに指を動かせたらOK!」ではなく、同時に弾いているテクニックが、頭の中で「分けられていること」が大事なんです。

これは、ポリフォニー演奏でも、とても大事なことですよね。

  • ピシュナ 60の練習曲
  • リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集

がおすすめの理由は、指の独立だけでなく、それぞれの声部を聞き分ける力がつくこと!

練習するときは、いきなり両手で弾かずに、それぞれのテクニックを分けて、片手ずつから練習してくださいね。

ドホナーニ/指の練習

「ドホナーニ/指の練習」は、次の3つの練習に分けられています。

  1. 指の独立と強化
  2. 音階と和音
  3. 重音奏法

「指の独立と強化」では、保持音を使った練習がたくさん出てきます!

パターンが豊富で、指の独立に、効果が高いですよ。

始めは、難しく感じても

  • 片手ずつ
  • ゆっくり

から練習していると、動くようになっていきます。

ピアノの先生
ピアノの先生
トレーニングの教本に無理は禁物!
1日で、マスターしようと思わず、毎日少しずつやってみてくださいね。

「音階と和音」のパートの「和音の転回形」の練習では…

  • I度の和音以外に、属七減七の和音が組み合わされている
  • 分散和音で弾く練習がある
  • 目を閉じて和音の跳躍を弾く練習がある

など、「和音をつかむ練習」が徹底的にできます。

また、音階では…

  • 両手で6度、10度になる音階
  • 反進行
  • 手を交差(右手が低音側を弾く)
  • 重音のスケール

などがあります。

「ドホナーニ/指の練習」は、それぞれの練習に対して、たくさんのパターンがあり、高いテクニックを身につけることができます。

初級者におすすめ

初級者の方におすすめのトレーニングの教本は次の3冊!

  1. ピアノの基本 テクニックマスター
  2. 大人からはじめるハノンピアノ教本
  3. バーナムピアノテクニック

1冊ずつ、見ていきましょう。

ピアノの基本 テクニックマスター

初級者の方におすすめの教本、1冊目が、「ピアノの基本 テクニックマスター」。

  • 右手と左手が同じ音(ユニゾン)
  • 似ている、または同じ音型の繰り返し

なので、ハノンに似ています。

違いは

【ハノン】
  • 1つの音が16分音符
  • 1曲目から指を広げる練習
【テクニックマスター】
  • 1つの音が4分音符の曲からスタート!
  • 1巻の21曲目までは「ドレミファソ」に指を置いたまま弾ける

「ピアノの基本 テクニックマスター」は、ピアノを始めたばかりの方にもおすすめ!

  • まずは、ゆっくり
  • 1音1音、指の動きを意識しながら(音をよく聴きながら)
  • 姿勢や手のフォームに気をつけて

練習してくださいね。

大人からはじめるハノンピアノ教本

「中級者におすすめ」のパートで紹介した「ハノンピアノ教本」。

それを独学でピアノを学ぶ方のために、やさしく編集したのが、「大人からはじめるハノンピアノ教本」です。

  • 練習方法
  • 練習の目的(身につけるべきポイント)

解説があるので、初心者の方でも独学で進めていくことができますよ。

ハノンピアノ教本は60番まであるんですが、「大人からはじめるハノンピアノ教本」には、1番〜20番までが入っています。

また、ハノンピアノ教本の39番にあたる「音階練習」については、

  • ハ長調
  • ヘ長調
  • ト長調

の3つが入っていますよ。

バーナムピアノテクニック


「バーナムピアノテクニック」は、ここまでお伝えしてきた教本とは、少し違います。

ここまでお伝えしてきた教本は、「指のテクニックのための教本」で、曲の形になっていません。

それに対して、「バーナムピアノテクニック」は、1つ1つが短い曲になっています。

でも、初心者の方が、テクニックを身につけるためには、効果的!

短い曲になっているため、譜読みもしやすいし、楽しく取り組むことができますよ。

「バーナムピアノテクニック」について、くわしくは【独学ピアノの進め方】基礎を身につければ確実に上達する!をどうぞ。