私はヤマハ音楽教室でピアノ講師をしています。
ピアノ教本は、たくさんあって
- どれを使えばいいのか
- どんな順番で進めたらいいのか
わかりにくいですよね。
ピアノ教室では次のような組み合わせで進めていくことが多いです。
- 練習曲集
- 指のトレーニングの教本
どうして、上のような組み合わせで進めていくかというと、テクニックを基礎から身につけていくため。
基礎的なテクニックが身についていなければ、いつか壁にぶつかってしまいます。
ピアノを始めたころは、練習すれば弾けるようになっていたのに、だんだんと
というように、1曲を仕上げるのがむずかしくなっていくんです。
そこで今回は、ピアノを独学で学びたい方のための「基礎テクニックが身につくピアノ教本の進め方」について
- 練習曲集と指のトレーニングの教本の違い
- おすすめの練習曲集
- おすすめの指のトレーニングの教本
- 指のトレーニングの教本の進め方
の順番で解説していきます。
Contents
練習曲集と指のトレーニングの教本の違い
ピアノ教室では
- 練習曲集
- 指のトレーニングの教本
の組み合わせで進めていくことが多いとお伝えしました。
- 練習曲集
- 指のトレーニングの教本
は、どちらも効率よくテクニックを身につけていくことができますが、
- 練習曲集→1つ1つが曲としてまとまっている
- 指のトレーニングの教本→曲っぽさがなく、指のトレーニングがメイン
という違いがあります。
練習曲集には…
- ブルグミュラー 25の練習曲
- ツェルニー 30番練習曲
- モシュコフスキー 20の小練習曲
指のトレーニングの教本には…
- ハノンピアノ教本
- リトルピシュナ48の基礎練習曲集
- ベレンス 左手のトレーニング
などがありますよ。
おすすめの練習曲集
独学でピアノを始める方におすすめの練習曲集は、次の2つ!
- 大人のための独習バイエル上巻、下巻
- 大人のための独習ブルグミュラー25の練習曲集
①→②の順番で進めてください。
ピアノがまったく初めてという方は、上の2冊をする前に「はじめの1冊」を選んでください。
「はじめの1冊」の選び方は【独学用ピアノ教本】経験ゼロでも挫折しない2冊をヤマハ講師が厳選をどうぞ。
それでは、1冊ずつくわしく見ていきましょう。
大人のための独習バイエル上巻、下巻
「バイエル」はピアノ教室でもよく使われます。
単調な曲が多いので、子供の場合、
と感じる子もいます。
でも、独学でピアノを始める大人の方にはおすすめ!
なぜなら楽譜を読む力がつきやすいからです。
楽譜を読んで弾くために大事なことは次の2つ!
- 音符の長さを理解すること(リズムが読めること)
- 鍵盤ではなく楽譜を見ながら弾けること
「バイエル」のはじめの方の曲は、指のポジションを変えずに曲が弾けます。(はじめに用意した場所から手を移動させなくても弾けるということ)
だから、鍵盤ではなく楽譜を見ながら弾きやすいんです。
また、バイエルの曲は、音符の長さを理解しながら進めていくことができます。

上のような音符の長さの決まりを自然と覚えていくことができますよ!
バイエルはたくさん出版されているので、
と疑問に思う方もいると思いますが、独学でピアノを始める大人の方には、
大人のための独習バイエル
がおすすめ。
なぜなら「大人のための独習バイエル」は、独学でピアノを学ぶ大人のために作られているからです。
- 練習法
- 大事なポイント
など、ピアノの先生から教えてもらうような解説がついています。
大人のための独習ブルグミュラー25の練習曲集
「ブルグミュラー25の練習曲」は、とてもよく使われている定番の練習曲集。
ピアノ教室でも、バイエルが終わったらブルグミュラー25の練習曲に進むっていうパターンも多いですよ。
「バイエル」は、曲名がついていなくて単調な曲が多いんですが、「ブルグミュラー25の練習曲」は曲名があって曲想も豊か!
ブルグミュラー25の練習曲の1つ1つの曲には、練習の目的があります。
例えば、
- 素直な心…長いスラーのメロディをなめらかに弾く練習
- アラベスク…16分音符を正確に弾く練習
- 牧歌…装飾音のあるメロディをきれいに弾く練習
などです。
ただ弾くだけではなく、曲の目的を理解して練習することが大事!
でも、練習の目的って独学ではわかりにくいですよね。
「大人のための独習ブルグミュラー25の練習曲」なら
- 練習の目的
- 演奏のポイント
- 練習法
の解説がついているので独学でも取り組みやすいですよ!
おすすめの指のトレーニングの教本
ピアノを弾いている方にとても多い悩みが
です。
指がスムーズに動かない原因のひとつは、指の独立ができていないこと。
指のトレーニングを取り入れることで、指の独立をうながし、動きやすくすることができますよ。
独学でピアノを始める大人の方におすすめの指のトレーニングは次の4冊。
- バーナムピアノテクニック導入書〜4巻
- ツェルニー リトルピアニスト
- ツェルニー やさしい20の練習曲
- 大人からはじめるハノンピアノ教本
「バーナムピアノテクニック」と「ツェルニー」は、1つ1つが曲としてまとまっているので、指のトレーニングの教本ではなく練習曲集です。
でも、
指のトレーニングとして使うこともできるので、こちらのパートで紹介していきますね。
それでは、1つずつくわしく見ていきましょう。
バーナムピアノテクニック
バーナムピアノテクニックは、中身のイラストが子供向けですが、ピアノ初心者の大人にもおすすめです。
なぜなら
- 1曲が短いので読みやすい
- 導入書は指のポジションがほとんど変わらないので弾きやすい
からです。
全くピアノ経験のない大人の方でも、ピアノ演奏に必要な基礎テクニックを無理なく少しずつ学べますよ。
「バーナム・ピアノテクニック」は、やさしい順に

まであります。
ピアノ経験が全くない方は、導入書から始めるのがおすすめです。
ツェルニー「リトルピアニスト」
ツェルニー(チェルニー)は、たくさんの練習曲を残した作曲家。
ピアノ教室でも、とてもよく使われている定番の練習曲集です。
ツェルニー「リトルピアニスト」は、バイエルと併用して使うことができますよ。
ツェルニー「やさしい20の練習曲」
ツェルニー「やさしい20の練習曲」は、バイエル後半〜ブルグミュラー25の練習曲と併用して使えます。
やさしい20の練習曲は、ツェルニーの5つの練習曲集の中から20曲を選んでまとめています。
5つの練習曲集
- リトルピアニスト
- 100番練習曲
- 125のパッセージ練習曲
- 8小節の練習曲
- 第一課程練習曲
700曲にも及ぶ5つの練習曲集の中から20曲を厳選した、いいとこどり!
本によって「ツェルニー」だったり、「チェルニー」だったりしますが、同一人物です(^^)
ハノンピアノ教本
「ハノン」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
指のトレーニングの教本として、とてもよく使われています。
- 右手と左手が同じ音(オクターブ違い)
- 同じ音形の繰り返し
なので譜読みがしやすく、初心者の方でも取り組みやすいですよ!
ただ、ハノンはただ弾けばいいというのではなく、
- 弾くときの手の形
- 手首の使い方
- 音の粒をそろえる
などを意識して練習することが大事です。
そのため、独学でやるなら、大人からはじめるハノンピアノ教本がおすすめ。
「大人からはじめるハノンピアノ教本」なら、
- 練習方法
- 練習の目的(身につけるべきポイント)
がていねいに解説されています。
ハノンピアノ教本は60番まであるんですが、「大人からはじめるハノンピアノ教本」には、1番〜20番までが入っていますよ。
また、ハノンピアノ教本の39番にあたる「音階練習」については、
- ハ長調
- ヘ長調
- ト長調
の3つが入っています。
指のトレーニングの教本の進め方
バーナムピアノテクニックなら、導入書から進めていくのがおすすめ。
導入書なら、始めたばかりの初心者でも弾きやすいですよ。

ツェルニー やさしい20の練習曲
大人からはじめるハノンピアノ教本
をするなら…
ツェルニー「リトルピアニスト」は、バーナムピアノテクニック1巻が終わってから。
- ツェルニー「やさしい20の練習曲」
- 大人からはじめるハノンピアノ教本
は、バーナムピアノテクニック2巻が終わってから始めるといいですよ。
例:
まとめ
ピアノを独学で学ぶ場合、基礎テクニックを身につけていなければ、いずれ壁にぶつかることが多くなります。
今回、紹介した教本を使って基礎的なテクニックを身につけていけば、「弾きたい!」と思った曲があったときに、スムーズに練習に取り組むことができますよ。